生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第40回 表示いろいろ】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
40回目の今回は、「表示いろいろ」です。
多くの工場起こっている「表示不足」
5Sが徹底できている工場は意外と少ないものです。多くの工場で感じるのは「表示が不足している」ということです。心当たりはありませんか?
□モノへの表示の不足
□工場内のエリア表示ができていない
□設備などの状態表示が不徹底
□止まっている設備がどうして停止しているのかがわからない
□管理者も把握していないので作業者に聞く
そういうところではモノが紛失している、適当に置かれてしまっているということがよくあり、問題の多い工場になっています。
しかしこのような状態管理のできていない工場でも、5Sを徹底すると見違えるように変わってきます。
混乱状態ではまず「2S(整理と整頓)」と「表示」の徹底
混乱状態の企業では、まず「2S(整理と整頓)」と「表示」を徹底して行ってください。表示は「モノと設備・備品」と「エリア」に対して行います。
さらに通路の区分を黄色いテープで線引きし、床を塗り替えることで見た目が大きく変わってきます。仕掛品・部品・消耗品の置き場所も区分けして何の置き場所か表示しましょう。さらに行き先も表示します。
また、担当者や責任者の表示をすることで、エリアの責任区分をはっきりさせます。
場所の表示で「どう使うか」「何を置くか」明確に
エリアのほかに危険区域や防火区域、通路、置場などの場所の表示をすることで、「そこをどう使うのか」「何を置くのか」を明確にします。そして、置いてはいけないものがあったり、置くべきものがはみ出ていたりすればルール違反として追求します。
部品の倉庫などで、ロケーション管理をおこなっているところでは棚番号を表示。発注点を表示して、欠品をなくす工夫も必要です。
次にすべきは「時間の表示」
次の段階は時間の表示です。この製品は「何時に加工終了」「この工程は何時まで作業する」といった、完成品の出荷時刻などの時間を知らしめるための表示は、遅れによる問題を防ぐためにも有効です。
品質表示は検査基準や、方法を表示。過去の品質事例や品質データをリアルタイムに表示することで意識を高めます。不良現品を展示している工場も良く見かけます。
表示はただ単に情報を知らせることにとどまらず、管理に活用できることをよく理解して自社に適した表示の徹底をおこなうことにより管理レベルの向上を目指してください。