生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第41回 色の活用】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
41回目の今回は、「色の活用」についてです。
視覚に訴えかける色を活用
前回40回目で「表示いろいろ」と題してお話をしてきました。表示に関連して活用していただきたいのが、「色の使い方」です。
色は視覚に直接訴えかけてくるので、目に付きやすく、分かりやすいです。また、文字ではないから読むという行為をしなくても済みますし、なにより識別が容易であるという利点があります。
このように、色で識別することは非常に分かりやすいので、ぜひ活用してみてください。
職場別にカラーを決めるということをしている工場も
例えば、「職場別にカラーを決める」ということをしている工場があります。その職場で使用している治具や工具に、ペンキで塗ったり、色テープを巻いたりして色をつけます。こうすることで他の職場へ持っていかれて紛失ということがなくなります。
仕掛品を入れる容器を職場別に変えている工場も
色のほかにも、仕掛品を入れる容器を職場別に変えているところがあります。そうすると容器の流通ルートがはっきりしてくるので、容器がどこかへ行ってしまうことがなくなります。
ある工場では、材料投入から完成まで同じ容器を使っていました。全社同じ容器を使用するのはいいのですが、仕掛品として材料が途中で停滞すると容器も停滞してしまいます。その停滞量が増えると、容器が不足するという事態が生じました。作業者は容器がなくなるのでどこかに行って探してきます。その探すためのロスが発生していました。
以前、容器が足りなくなったので新たに購入すると、どこからか停滞品が流れ始めて逆に容器がだぶついてしまった経験があったので、どこかにあるはずと探し回ります。
心理的要因からロスが発生することも
これは停滞も問題ですが、容器がどこでも使えるが故に、どこかの空いている容器を使おうという心理からロスを発生させたことが大きな問題です。
これを、職場別に色分けした容器を使用することにしたことで、使えるところが限定され探すことはなくなりました。また特定の色の容器がなくなるということは、その容器を使用している職場で停滞が発生していることになるので在庫管理の面でも役立ちました。
倉庫に眠っている保留品は容器をみればどこまで進行したか分かります。容器の色を変えて運用すると言うのは1つの例ですが、同様なことは様々な場面で応用できるはずです。