生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第52回 検査のポイント②】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第52回 検査のポイント②」についてです。
目次
検査は検査工程でだけ行われるべきものか?
検査は、検査工程でだけ行われるべきものではありません。各工程で作業者自身が測定し、検査することも必要です。
これは日本では当たり前のように行われていますが、海外ではあまり行われていません。
日本では加工と一緒に品質の確認や寸法測定を行っていることが多い
日本の工場を見てみると、設備の横に検査台が置いてあって、作業者は加工と一緒に品質の確認や寸法測定を行っています。
これを実現するためには、測定箇所と使用器具、測定方法、合格基準などが定められていなければなりません。それらの項目は品質検査標準書の形で製品ごと工程ごとに準備してあって、品種切り替えのたびにその標準も切り替えます。測定結果は品質チェックシートに記録され残されます。さらにそのデータは、製品ならびに設備の工程能力を測るためのデータとしても活用されます。
海外では測定担当と加工担当が明確に分かれているところが多い
海外の工場では、測定担当と加工担当が明確に分かれているところが多いです。加工担当は加工だけして、測定をQC(Quality Control:品質管理)担当に任せてしまいます。もちろん問題があればフィードバックされ、QC担当者や管理監督者を交えて対策を協議します。
しかし、加工担当者は自分で測定しないので、工程の能力を把握していません。測定場所まで製品を運び、測定の間待っていて終わったら自分の設備に戻るといったことが当たり前のように行われています。
※「QC」とは「Quality Control(品質管理)」の略。製品やサービスが顧客の要求する品質基準を満たしていることを保証する一連の活動を指します。顧客の立場から、製品やサービスのライフサイクル全体を通して品質を担保し、顧客に安心と満足を提供することを目的とします。
加工者が自分自身で測定しチェックすることが必要
これでは加工担当者は、自分の仕事に責任を持っているとはいえません。測定方法を習得させ、検査基準を明確にして標準化することで加工者が自分自身で測定しチェックすることが必要です。責任の所在を明らかにすると同時に、いいものを作るという意識の醸成、ロスの削減など効果は大きいはず。セルフチェックをできていない工場は、品質的に問題のある工場と判断されてしまいます。