生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第59回 ピッキング】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第59回 ピッキング」についてです。
ピッキングするときに気をつけることは?
倉庫や部品材料置場から、払い出しのために必要なものをピッキングするときに気をつけなければならないことがあります。それは、効率です。頻繁に払い出しが発生するとき、ピッキングが遅れたら現場のラインが止まってしまうことになります。
多くで行われているピッキングのやり方
ピッキングのやり方の多くは、製造指示書や払い出し指示書などの必要材料の品目と数量のリストをもとに、倉庫をまわって拾い出していくやり方です。
このときには、ピッキング台車を使うことが多いようです。台車に指示書を貼り付けてそれを見ながらピッキングします。その動線は一筆書きでかつ最短でなくてはなりません。行ったりきたりしながら探し出しているようでは時間がかかってしまいます。どこに目的のものがあるのか、頭に入っていればいいですが、そうでなければ部品保管場所のリストを作成して、それを見ながらのピッキングになります。
部品の置き方も工夫の必要
部品の置き方も工夫しなければなりません。製品別にまとめて保管されていると、そこのエリアだけでピッキングができるので効率的です。部品保管の配置は、できるだけ動線が短くなるようにします。
ピッキングに時間がかかっていたある工場の例
ある工場では、ピッキングに時間がかかっていました。また、部品の入荷遅れがあって、途中までピッキングした台車を停滞させ、不足部品が入荷したら再開するということをしていました。そうすると、入荷遅れが多いと台車の停滞が多くなってしまいます。
そこで、すべての必要な部品が揃ってからピッキングするというルールに変更しました。さらに部品が入荷しているか、倉庫に在庫があるかが見えていませんでした。ですから、その管理のしくみも構築、配置も見直し、最短距離でピッキングできるようにしました。
必要な部品がすべて入荷されてからのピッキングとなったので、ピッキング台車の停滞も減りました。生産開始の直前にピッキングすることが多くなったので、どうしてもスピードが要求されます。実際にピッキングする時間を改善の前と後で比較すると半分以下の時間で済むようになりました。
ピッキングは生産前の重要な作業です。ここにあまり注視されないことが多いですが、この効率が予定通りの生産につながり、生産計画の精度向上につながるのです




