生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第61回 作業性】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第61回 作業性」についてです。
作業性を高めるには「作業の姿勢」が重要 問題のある姿勢は?
効率的な生産を続けるには、「作業の姿勢」が重要です。作業中の問題のある姿勢には、下記の3つが挙げられます。
①高いところや遠いところに手を伸ばす動作
手と同時に身体も伸びます。肩の動きが激しく、背中や肩を痛める原因となります。
②低いところにあるモノを取る動作
床の上や低すぎる位置のものを取るのは、「腰をかがめる」「じゃがむ」動きが必要ですが、これは腰を痛める原因となります。
③一箇所にずっと立っている作業
足の動きが多いと動作ロスが大きいですが、全く足の動きがないと逆に体の負担になります。腰痛に要注意。
できるだけ避けた方がいい姿勢・動きは?
そのほかに作業中ではないが避けなければならない姿勢・動きとしては、下記の5つが挙げられます。
①中腰
腰に大きな負担になるので、避けるべき。高さの見直しをしましょう。
②重量物
これも背中や腰に負担大。怪我をする危険性があります。
③アンバランス
モノを持つときバランスを取らなければいけないものは、注意が必要です。
④ひねり
腰をひねる動作は避けましょう。どうしても体の方向を変えなければならないときは、足を動かして。
⑤片手
ある程度の重量は片手でも可能であるが、安全性を考慮して、重いものは両手作業を心がけて。
体の位置や動きを最適にするためにすべきことは?
これらの体の位置や動きを最適にするにはモノの置場所や、荷姿や作業箇所を最適にしなければなりません。床の上に直接モノを置くことは、異物が混入する危険性があるという点でも避けるべきです。
職場の中の各作業者の姿勢について重点的に観察してみると、かなり無理な姿勢や危ない動きをしているものです。怪我したり体を痛めては何にもなりません。また、作業者もいつも同じ姿勢で作業しているので慣れてしまっている可能性があります。そうすると負担に感じていないかもしれませんが、やはり無理は徐々に体をおかしくしてしまうので、徹底した作業性の見直しが必要です。




