生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第63回 間違いの防止-2】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第63回 間違いの防止-2」についてです。
「形」を利用して間違いを防ぐ
間違いを防ぐのに「形」を利用する方法があります。
モノの方向を間違えないようにするために、左右・上下・前後の形を非対称にすることで、方向を間違えることを防ぐことができます。例えば、部品などを非対称にすることで、取り付ける方向を間違わないようにすることができます。あるいは、突起をつけて決まった方向や位置でしか取り付けられないようにすることは、身の回りにもたくさん見かけることができます。
形で区別している例
鍵も旧式のギザギザのついたものは、言ってみれば形で区別しているともいえます。錠前に形が一致した鍵でなければ開錠することができません。間違った鍵では開けることができません。
コンピューターやテレビなどコードをつなぐものは、方向を確認しないとうまく差し込めないものがあります。これも突起や穴の位置で間違いを防ぐということです。
そもそも間違い自体が起きないようにするという考え方とは?
逆に、どの方向や位置でも取り付けられるようにして、間違いを防ぐというか、そもそも間違い自体が起きないようにするという考え方もあります。
例えば製品に部品を取り付けるとき、丸い穴に四角い部品は基本的には入りません。それも形による間違い防止。さらに四角い部品を取り付けるには、方向は4つしかありません。このどの方向が正しいのかを認識したり、はめ込むために部品を回したりするのはロスとなります。そういう意味でははめ込みは四角い形状より丸い形状のほうが優れています。方向がないからです。部品を取り付けるときに、方向を気にすることなくはめ込むことができます。形状で考えると三角より四角、四角より六角と、多角形になるほどはめこみの自由度が増えていきます。最終的には、丸が一番自由度が高いといえるでしょう。




