生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第78回 見えないこと-4】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第78回 見えないこと-4」についてです。
目次
トラブルの兆しを見逃してしまう2つの原因
トラブルは突然起こるものではありません。たいてい何らかの兆しがあるものです。その兆しを見逃したときに、「トラブルが突然発生した」と考えてしまうのです。
ではなぜトラブルの兆しを見逃してしまうのか。トラブルは、ほとんどが生産の現場で起こります。したがって、兆しに最初に気が付くべきなのが現場で作業している従業員です。ところが気が付かないことがあります。
この原因は2つ考えられます。1つは、兆しが発生しても気が付かない、つまり「感度が鈍い」ということ。2つ目が、「兆しが見えにくくなっている」ことです。
兆しを見逃す原因①感度が鈍い
1つ目の「感度が鈍い」ということは、意識していないと見過ごす微妙な兆しに気が付かないということです。
大きな異音がするとか、ケムリが出るというのは誰でも気が付きます。しかし、ちょっとした異音や発熱は注意していないと気が付かないことがあります。ただし、これは感性とか知識とかの別の問題です。
兆しを見逃す原因⓶見えにくくなっている
2つ目が「兆しが見えにくくなっている」ことです。
例えば、異音がしていても他の設備の大きな音に消されてしまう。シャフトの亀裂が普段作業者が立っている位置からは見えない。エアーの漏れが設備の奥のほうで発生していて見えない・・・。
このように、近くで起こっていると気が付く異変に、見えにくいところで発生しているがために気が付かないということはあるでしょう。そしてそれは、何らかの対策を実施しないとずっと見えないということになってしまいます。
トラブルの兆しを捉えてもそれを報告しているかも問題
そして、もう1つ問題になることがあります。それは、トラブルの兆しを捉えても、それを作業者が報告しているかということです。
何か変だなと感じて、作業者自身で様子を見てみるけれど、問題の原因が分かって対処できればそれでおしまいということは多いのではないでしょうか。しかしそれは、「対処」であって「対策」となっていないことが多いのです。「一時的に問題が解決したから放っておく」というようなことをしていると必ず再発します。
問題があったら「報告」「対応」を
問題があったら、日報などで必ず報告することが大事です。自分で対処しても報告だけは上げておくことです。そして、もし問題の報告がなされたら、報告を受けた側は必ず対応すること。安全の確認や品質の確認を重点的に行うことで、作業者が打ち上げてきた問題の兆しにきちんと対応していることになります。作業者もちょっとした兆しでも対応してもらえると安心できます。
一番いけないのは作業者側が「どうせ言ったって対応してくれないから」という気持ちからちょっとしたことでは報告しなくなることです。どんな小さなことでも異変があれば報告するしくみと意識を構築してください。それが大きなトラブルの発生の予防につながるのです。




