生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第86回 一気生産-1】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第86回 一気生産-1」についてです。
工場の倉庫に「大量の仕掛品」
ある工場で倉庫を覗いたときのこと。そこには大量の仕掛品がありました。
「一体どうしてこんなに仕掛品があるのですか」と尋ねると、生産リードタイムが長いため、受注してから生産開始していては間に合わないので、途中まで加工してストック。そして、受注してから加工を再開し、完成させて出荷しているとのことでした。
そのために、加工途中で倉庫まで運んで保管し、必要なときに倉庫から出してきて生産現場へ運んで加工しているから、倉庫に大量の仕掛品があったわけです。
一気生産すればロスは少ない?
このことは、何回も運搬と停滞が発生していることになり、ロス以外のなにものでもありません。製品として完成させて保管し、受注して出荷するほうがまだロスが少ないと思うのですが、この場合、製品にしてしまうと腐食や劣化の心配がある、ということでした。
そこで、初工程から最終工程まで停滞なしの正味リードタイムを測定してみました。すると、想定していたよりもかなり短いことがわかりました。つまり、一気生産すれば、何も中間に仕掛品としてストックを設けなくても受注後の生産開始で間に合うということです。
できない理由を考えず、意識を変える
しかし、たくさんの種類の製品を平行生産しているので、1つの製品を一気生産できないとのこと。このようにできない理由ばかり並べていても仕方ありません。
まずその意識を変えてもらい、次に生産体制の組みなおしと、ライン構成の変更、計画の立て方の変更で、加工途中のストックをなくす活動を展開しました。
仕掛品ストックにメスを入れた結果、大きな効果
1年間の活動の結果、完全に中間仕掛ストックがなくなったわけではありませんが、90%以上削減できました。当然仕掛品在庫も大幅に圧縮することができました。
何よりも大きな効果は、途中の運搬や保管がなくなったことで、倉庫が半分以上不要になり、それにかけていた工数もほとんど必要なくなったという点です。これは今まで当たり前となっていた中間仕掛品ストックにメスを入れ、思い切った改革をした成果です。当たり前を打破し、従来からの習慣を否定することで新しい道が開けるはずです。




