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JEMCO通信

2026-05-28 コンサルティング トピックス

ローリング方式の中期経営計画とは?|従来の中期経営計画との違い、メリット・デメリットを考える

文責:ジェムコ日本経営

一度策定した中期経営計画が、市場の急激な変化や予期せぬ外部要因によって形骸化することもあるでしょうか。このような課題を解決する鍵となるのが、「ローリング方式の中期経営計画」です。

ローリング方式の中期経営計画とは?

ローリング方式の中期経営計画とは、企業が事業活動の指針として策定する中長期の経営計画を、毎年または定期的に見直し、目標年度を常に先送りしながら運用していく手法です。たとえば、3カ年計画であれば、1年経過するごとに計画を1年分見直し、新たに1年分の計画期間を追加して常に3年先の目標を見据えるような形になります。

従来の固定型の中期経営計画との違い

ローリング方式の中期経営計画と、従来から多くの企業で採用されてきた固定型の中期経営計画は、考え方や運用に違いがあります。
固定型の場合、策定時点から終了時点までの計画期間を固定し、一度計画を策定すると、原則としてその期間内での大幅な見直しは行いません。そのため、計画期間の途中で市場環境や競合状況が大きく変化した場合、計画が実態と乖離してしまうリスクがありました。
一方、ローリング型は、毎年、社会情勢や実績に合わせて内容を見直し、期間を1年ずつ先延ばし(スライド)しながら更新していく中期経営計画。これにより、常に最新の状況を計画に反映させることができ、環境変化への迅速な対応が可能で、現代の不確実なビジネス環境に適した手法と言えます。

なぜ今、ローリング方式の中期経営計画が注目されるのか?

ローリング方式の中期経営計画が多くの企業で注目を集めている背景には、現代のビジネス環境が抱える「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)」という特性が挙げられます。VUCAとは、一言で言うと「予測不可能で、先の見通しが立たない社会情勢」を表す言葉です。技術革新のスピードは加速し、市場のニーズは多様化、さらに地政学的なリスクの高まりなど、予測困難な事象が次々と発生しています。
このような環境下では、数年前に策定した固定的な中期経営計画では、事業を取り巻く現実と計画との間に大きな乖離が生じやすくなります。計画が現実と合わないものになってしまうと、経営の意思決定を誤らせる原因にもなりかねません。

ローリング方式の中期経営計画の4つのメリット

ローリング中期経営計画を導入は、現代の予測困難なビジネス環境において、例えば下記のようなメリットがあるといえるでしょう。

●環境変化への迅速な対応
計画の見直しが制度として組み込まれているため、こうした変化をいち早く計画に反映させ、経営の舵取りを柔軟に修正できます。
●計画の実効性と納得感
常に最新の状況に基づいた目標設定が可能となるため、現場の従業員の「やらされ感」が薄れ、現場のモチベーションが高まり、目標達成へのコミットメントが向上しやすくなります。
●経営判断の迅速化
定期的な計画の見直しを通じて、常に最新の市場データや社内実績が経営層に共有され、より迅速かつ精度の高い意思決定を行うことができるようになります
●目標達成に向けて一体となって取り組む
計画が定期的に見直され、全社に共有されることで、各部門や従業員が常に同じ方向を向き、共通の目標達成に向けて一体となって取り組めます。

ローリング方式の中期経営計画の3つのデメリット

ローリング方式の中期経営計画にはメリットがある一方で、導入に際しては考慮すべきデメリットや注意点も存在します。

●策定コスト(手間)がかかる
定期的に中期計画レベルの環境分析や戦略の練り直しを行うため、経営企画部門や各事業部の負担が増えます
●現場が疲弊する可能性
計画や方針が頻繁に変わることで、従業員が振り回されて疲弊してしまう可能性があります。変更の背景にある環境変化や戦略的な意図を丁寧に説明し、現場とのコミュニケーションを密にすることが重要です。
●短期的な視点に陥る可能性
目先の環境変化への対応にばかり追われるあまり、中長期的な視点での大きな戦略や、将来の成長を見据えたことがおろそかになる危険性があります。短期的な見直しの中でも、中長期的なビジョンとの整合性を定期的に確認する仕組みが必要です。

変化の激しい時代を乗り越えるために

ローリング方式の中期経営計画は、現代の不確実性の高いビジネス環境において、企業が持続的に成長するための強力なツールともいえます。従来の中期経営計画では対応しきれなかった市場の変動や予期せぬ事態に対し、計画の形骸化などを防ぎながら、よりよい経営の舵取りを可能にしてくれるでしょう。
変化の激しい時代を乗り越え、企業の持続的な成長を実現するために、ローリング方式の中期経営計画の導入を検討してみるのもいいのではないでしょうか。

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