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セミナーレポート

【セミナーレポート】経営の質で世界一を目指す「人」基準の経営手法
石合信正氏(T&K TOKA 代表取締役社長兼CEO)

2025年「経営人財育成塾」第1回講演より

Contents 01

セミナー概要

ジェムコ日本経営の関連会社であるジェムコ・コーオペレーションズ では、2025年5月から自律したリーダーの育成を目的とした「経営人財育成塾」を開講しています。講師には、経営トップ経験者やマネジメントの専門家を招き、実践的な知識を提供します。
このコラムでは、第1回目と2回目の講師である、石合信正氏(T&K TOKA 代表取締役社長兼CEO)のお話をご紹介させていただきます。
今回は、筋肉質でスピード溢れる企業となるための「日本式経営×外資系の融合経営」についてお話いただいた第1回講演の内容をご紹介します。

石合信正氏(T&K TOKA 代表取締役社長兼CEO)

Contents 02

ビジネスで一番大切なものは笑顔で明るい挨拶

最初に、「ジャッキーチェンの笑顔」についてご紹介します。これは私がアメリカにいた時、オープンな日本人へ変身するために教えられた唯一無二のレッスンです。では、皆さん「ジャッキーチェン!!」と大きな声で言ってみてください。「チェン」というとき口角が上がり目元が柔らかくなり、素晴らしい笑顔になります。笑顔は、コミュニケーションが活性化されて、結果的に業績も上がります。

Contents 03

自己紹介 グローバル企業トップからの学び

私の経歴について、少しお話させていただければと思います。日本企業の住友重機械に入社後、外資系企業5社、その後日本企業3社の合計9社を経験してきました。その内7社で、社長およびCEOを歴任しました。2024年9月からは、T&K TOKAの代表取締役社長兼CEOをしております。印刷用インキ+精密分散品・機能性樹脂の開発・製造販売の会社で、非常に高い技術力を有しており、例えば、日常で目に入る食品や化粧品のパッケージの多くに弊社インキが、また、スマートフォンの一部に弊社製品が使われています。
これまで在籍した企業はすべてメーカー。その中で、グローバル企業トップからの直接の学びが大きく私を成長させました。その中でも、印象的だった5人のトップ(当時)のお話をさせていただきます。

セミナーの様子

Contents 04

トップの言葉① 情熱を持って行動する(Jack Welch- GE CEO)

GE(ゼネラル・エレクトリック)では、その経営手腕から“伝説の経営者”と呼ばれた、ジャック・ウェルチ氏から指導を受ける機会が多くあり、「Are you crazy enough? (十分な情熱を持っているか?) 」という問いかけを毎日言い続けるようにと教わりました。これは、「できなかったらどうしよう」「嫌われたらどうしよう」「忖度しないといけない」等を一切吹き飛ばし、全集中して覚悟を決めなさいというメッセージであり、私の核になっています。

Contents 05

トップの言葉② リーダーシップの育成(Jeff Immelt-GE CEO)

ジェフリー・イメルト氏からは、「Go to Crotonville」と言われました。これは、私が「学びの機会を得たい」といったときの言葉で、クロトンビルとは、GEの幹部研修センターです。そこに行って学べるようになれというわけです。それくらい彼らはGEの教育システムであるクロトンビルに価値を感じ、そこでの教育に自信を持って後進の指導をしていました。私は4回クロトンビルで学ぶ機会を得て、どんなリーダーにも共通するリーダーシップについて学びました。

Contents 06

トップの言葉③ 自分自身たれ(Nani Beccalli-GE International CEO)

ナニ・ベッカリ氏からの「Be Yourself(自分自身たれ)」 も印象的です。私が何をやってもうまくいかなくて落ち込んでいた時に、「お前らしくやればいいじゃないか」という意味を込めてくれた言葉です。そして、先ほどお話した「ジャッキーチェンの笑顔」を教わりました。それ以前はグローバル環境下で気おくれしていましたが、笑顔からのコミュニケーションで友達が増え、世界が変わりました。笑顔で壁を乗り越えられたと思います。

Contents 07

トップの言葉④ 人生を大切に(Dan Leff-Invensys COO)

ダン・レフ氏の「Business is just as a part of your life (人生の一瞬一瞬を大事にせよ)」という言葉も忘れられません。日本人は、ともすると仕事に追われるあまりwork life balanceを失って後悔します。人生の一瞬一瞬を目の前の生活に集中してスイッチを切り替えるべきだと感じました。

Contents 08

トップの言葉⑤ ブレない(Patrick Prevost-Cabot Corporation CEO)

「Safety is Top Priority! (安全第一!)」。パトリック・プレヴォスト氏からは、「ぶれない」ということを学びました。キャボットは世界一も言えるほど厳しい安全管理をしている企業。背景として、パトリック氏の無事故への執念がありました。それはかつて、重大事故を経験して、世界一安全な会社を目指そうという経営者としての覚悟。世界一の安全を目指すことにより、全従業員は「私はこの会社に守られている」と会社を信頼するようになり、方針は徹底し、結果として業績も飛躍的に良くなりました。

Contents 09

規模や売上で競うのではなく、経営の質を高める経営視点とは

規模の大小に関わらず、「経営の質」を追求することによって、日本で一番・世界でも一番を目指せます。売上とシェアを無理に求めず、営業利益・キャッシュフローを同時に改善していくのです。
私が考える理想の経営は、「人」基点の経営です。会社を変えられるのは社員だけです。その社員をやる気にさせるのが「仕組み」です。それさえできれば、結果はおのずと業績に反映されます。業績だけを短期的に追いかけても、一時的なものにしかなりません。「やりがいUP→業績UP→報酬UP→やりがいUP」のスパイラルアップで筋肉質な企業体質を造るしかないのです。
働きがいのある職場には、「働きやすさ」と「やりがいがある環境」があります。日本における「働きがいのある会社」ランキングでは、外資が上位を占めることが多いですが、顔ぶれを見ると、決して楽ではない会社です。私が考える「働きがいのある会社」の要因は、コミュニケーションを核として、共通カルチャーとして「公正性・明瞭性・透明性・スピード・オープン・多様性」が挙げられます。しかしながら、その根底で求められるのは「厳格で公正な成果主義」だと思います。

Contents 10

日本企業の”4弱点”

外資系企業に30年以上在籍したことで、日本企業の良さを感じることが多くあります。一方で、弱点についても感じることがあります。それは「変化対応力」「多様性」「経営の合理化」「幹部不足」の4つです。
例えば「変化対応力」について、私の経験から少しお話をさせていただきます。外資系企業は自ら望めばレベルアップがしやすいし、評価でも納得できます。一方で、変化が激しいので、リスクをとった自助自立の変化対応力とスピードが必要となります。必然的に、マネジメントにも強いリーダーシップが生まれます。
「日本企業の弱点=伸びしろ」ともいえるでしょう。世界に誇る技術力があり、品質へのこだわりは世界一。チームワークも素晴らしく、潜在能力が高いといえます。現状の弱点を改善したときの成果は大変大きいと思っています。

Contents 11

弱点を改善するために

日本企業は官僚的なので、まずフラットでオープンな組織への変更が必要です。痛みを伴う合理化を進める必要があります。
また「コンプライアンス」について、特にパワハラへの対応はしっかり理解することが重要だと思います。「パワハラ」と「業務命令」の区別がつかず、指示・指導ができない状況になっていないでしょうか。
そして、「守りから攻めの体質」へ変えていく必要があります。財務会計だけではダメです。終わったことを調べるだけでは何の役にも立ちません。管理会計が必要で、計画を立て、行動を起こして、予算と実態のギャップを素早く埋めていく必要があります。先ほどもお話した、ジャック・ウェルチ氏からは、「利益とキャッシュフローを大事にしろ」と徹底して学びました。在庫を減らし、現金を回収して利益をいかに出すか。これらを反映して、無差別級の戦いが可能となります。売り上げではなく利益とキャッシュフローを重視することが大切なのです。
個人ベースでは、「会社が守ってくれるので大丈夫」と安心してしまって、「自助自立」の覚悟と研鑽が失われてしまっています。先ほどお話したような「笑顔」や「挨拶」についても、必要だとわかっていても、進んで誰かがやらないと皆やらなくなるということはないでしょうか。どんなに自動化されても、「会社は人」。日本企業は、この当たり前の習慣の改善が、大きな伸びしろに繋がると思います。

次回は、「社員の能力を飛躍的に高める」「ムダを排除」「施策展開による社内の変化」などについてお話させていただきます。
▼▼▼次回(第2回目)の記事はこちらからご覧ください▼▼▼
https://www.jemco.co.jp/case/jinzaitk2502/


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