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導入事例

セミナーレポート

経営改革セミナー「日本企業復活」~世界・未来から見る日本企業のあり方~
<後編>

Contents 01

セミナー概要

日本経済の黄金期から早30年。今や、各種経済データのランキングを下げているという現状があります。大きな構造改革が必要なことは分かりながら変わり切れない企業が、ますます進むグローバル化とデジタル化の波をどう乗り切ればいいのでしょうか?

Contents 02

<セッション2>
変化するところにチャンスあり
~モビリティ業界の激変は対岸の火事では済まない~
ジェムコ日本経営 コンサルタント 山崎茂樹

セッション2のスピーカーは、ジェムコ日本経営のコンサルタント・山崎茂樹。「スマートフォンの登場から起こった変化が、今、自動車業界に大きな影響を与えています。その変化は自動車業界だけにとどまらず、同時並行で様々な業界に飛び火しつつあります。その時、『どのような構造変化が起きるか』『我々はどうしていくべきなのか』についてお話をしていきます」。

まず、スマートフォンの登場により何が変革したか、ということをテーマに話はスタートしました。

Contents 03

スマートフォンの登場で起こった激震が自動車業界にも
市場予測が出ないがゆえに日本企業は乗り遅れがち

「震源地は、AppleのiPhone。スマートフォンは電話ではなく、フルブラウザのコンピューターとして作られました。つまり”常にネットにつながるポケットに入るコンピューターを創ったわけです。”このような流れの中でできることになったことの一つが、シェアリングエコノミー。さらに、エコシステムも進化しています。例えば、AppleのiPhoneという一商品を作るだけで、誰にでもどんなシーンにもフィットさせる商品が生み出されてきているわけです」。これが、プラットフォームビジネスです。

この波が自動車業界にも押し寄せてきているということで、その変化について話が及びました。「自動車業界に訪れている技術革新『CASE(※1)』の波があります。この技術革新をベースに業界に大きな変革が起こってきています。さらに自動運転やシェアリングエコノミーが進むと、異業種からどんどん自動車業界に参入し、業界の常識を知らないがゆえにルールを変えてしまうということも起こってきます。nVidiaやMobileyeはリファレンスモデル(検証済み活用モデル)を持っているので、『それをベースに要望があればカスタムできます。ただ、このリファレンスモデルは、その周辺部品の選定や回路設計など熱や電磁気の干渉など検証済みで直ぐに製品化できます。独自にカスタムするなら、どうぞ勝手に設計・検証・品質を組み込んでください。1年半かかります』というわけです」と山崎。

(※1)C=connected A=autonomous S=shared&services E=electric の略


そのようなものを利用して、これからどんなモビリティが登場するのか、次世代モビリティにはどんなことが求められることになるか?などが紹介されました。 山崎は「既存の自動車業界の方とお話をさせていただいていると、“見えている所しか見ていない”と感じます。例えば、低速モビリティや超小型モビリティ、自走型車椅子やスマート台車、宅配ロボなどは自動車の市場ではないので、市場規模には現れない。でも同じ技術が使われることになる。従って、市場規模を過小評価してしまうことになります。カメラメーカーは、スマホ内臓のカメラは解像度が低く、競合ではないと当初は無視していたが、それが今はコンパクトデジカメの市場は絶滅に瀕しています。構造の変化を理解して、未来市場を洞察することをしないと、遅きに失してしまいます」といいます。


そのうえで「変化は、怖い。でも変化するところにこそ、チャンスもある。未来市場の変化点から機会と脅威を分析して、そこに何ができるか・何をやりたいかを見つけることを余裕のあるうちから取り組んでもらいたいと思います。厳しくなってからでは遅いので、まさに今、行っていただく必要があることを力説したいと思います」。

Contents 04

自動車業界の次は「住宅業界」?
それを踏まえた新規事業開発の必要性とは

この構造変化が、「スマホ」「クルマ」業界の次にどこに来るかについては、「一番近いのは、住宅ではないかと考えています。それ以外にも宿泊、飲食、流通、公共交通・・・などが変わってくるかなと想定されます」(山崎)。

それを踏まえ、新規事業では何をなすべきなのでしょうか。「新規事業についていえば、どの企業でも『やったことがないから不安』『予算・人材ノウハウがない』など、できない理由を挙げてきます。経営層からの指摘で必ず出てくるのは、①他にないのか?②本当に儲かるのか?③誰がやるのか、の3点。私たちは、新規事業を立ち上げる時に必ず申し上げるのは、必ず別組織でということ。お金出すけど口は出さないでいただきたいということと、イントレプナー、大企業の中にあって違う組織で立ち上げましょう。というお話をさせてもらっています」と山崎。そのうえで、市場環境の変化、自分の会社に対しての脅威を洗い出し、強み・弱みを出し、それでフューチャーデザインで、何をやりたいか。やりたいことを見つけるということが大切なのだとか。「社内にシリコンバレーを作りませんか。ユーザー始点、デザイン思考・・・我々は伴走をさせていただきながら、一緒に取り組みをさせていただくということもします。私達は、成功の答えを知っているわけではありません。先人の成功例・他業界での成功例・失敗例をたくさん知っているので、経営者が納得する企画書の視点も分かる。なにより「『やりたい』『やらせてくれ』『自分に投資してくれ』というメンタリティを応援しながら育てます。リスクを取らないことが最大のリスクになる“”と思います」。

Contents 05

<セッション3>
米中2強時代における日本企業の価値創造
ジェムコ日本経営 コンサルタント 森岡琢

セッション3のスピーカーは、ジェムコ日本経営のコンサルタント森岡啄。中国での10年の駐在経験なども踏まえ、この先の米中関係がどうなるか、ビジネスへの影響は、という視点で進んでいきました。

Contents 06

米中関係の次のターニングポイントは今年から
今後のキーワードは「イノベーション」

まずは、米中関係のターニングポイントについて話が。「それは、2008年。自動車生産台数で中国がアメリカを抜きました。翌年には販売台数も抜き、その差は広がっており、中国が自信をつけてきた一つの要因だと思います」。



そして、次のターニングポイントは、今年から来年にかけてではないかと森岡は言います。「大きな転換点となりそうな出来事が2つあります。一つ目は、11月に行われるアメリカ大統領選挙。もう一つは、2021年からの動きになるのですが、中国の『第14次五カ年計画』がはじまります。アメリカ大統領選挙と五カ年計画とがほぼ同時に起こるということはかなり珍しいことです。そして、次の第14次五カ年計画というのは中国にとってとても重要なものになります」と森岡。



その理由について森岡は、「中国は建国100年の2049年に世界ナンバーワンになるということを掲げています。2049年までのロードマップの中で、2025年が最初のマイルストーンとして設定されています。そこの目標はきちんと達成してくるはず。今年、中国は新型コロナウイルスの問題があり、少し“しゃがむ”ことになるかもしれませんが、それ以降ステップアップできるような計画が、秋ぐらいをめどに出てくるのではないでしょうか?」。

では、5年先、10年先の米中は何を競うか。イノベーションがキーワードになってくると森岡は言います。「イノベーションによる社会変革・社会発展が起こりますが、中国がイノベーションで重視しているのは2030年。そこで、あらゆる産業でAIを取り込んでAIが引っ張っていく社会にし、AIでナンバーワンになると言っています。ちなみに最近の中国のイノベーションで強烈なものは、信用スコア。スマホとかで決済すると信用スコアが溜まる。人為的に信用というものを作り出したわけです」。“社会を変革したい”というゴールはどこの国でも同じだとしても、そこに向かうアプローチの仕方が違ってきているようです。

Contents 07

日本と米中の違いは「軸足」「研究開発力」
“イントレプレナー”を育成が重要に

このようなことを考えたとき、日本企業の価値創造はどうすべきなのでしょうか。まずは、我々が認識すべきことがいくつか提示されました。「まずは、軸足の違い。日本の場合は、軸足がモノづくりにあって、そのためにお金や人をひっぱってくる。中国やアメリカ(一部)は、マネーに軸足がある。特に中国スタートアップが顕著でお金と人が集まったら、何をするか?というようにコトづくりを意識している」のだとか。



もう一つ認識しておくべきことは、研究開発力。国際特許の出願で、2001年から2018年にかけて、中国の出願数は30倍に伸びており、かなり研究開発型のものになっているのだそうです。



「このような状況の中で、日本が米中と正面から戦っていくことは難しくなってきています。人材、資金、スピードに圧倒的な差がついてしまっているんです」と森岡。



では、生き残る、勝ち残るための価値創造戦略として、どうしていくべきなのか?下記の4つのポイントをもとに話が進みました。


①社会課題を自社のビジネスを結びつける
②実現すべき価値を起点に考える
③自社を再定義する
④仲間を作る



「このようなことを構想し、実現できる人材はいますでしょうか? 「起承転結」という言葉でいえば、「起承」ができる人“イントレプレナー”を育成していく必要があります」と、次代を切り開く人材の重要性、“社内起業家”であるイントレプレナーの重要性について話をし、本日のセミナーのすべてが終了となりました。

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