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JEMCO通信

2026-10-21 コンサルティング トピックス

【⼈と組織の未来研究会】前JALカード社⻑CEO‧⻄畑講師と考える「あなたには、社内外にキーパーソンが100⼈いますか」

文責:株式会社西雄大事務所 代表取締役 西 雄大

日本航空で50年ぶりの旅客基幹システム刷新やDXを率い、JALカードの社長CEOを4年間務めた西畑智博氏。ジェムコ・コーオペレーションズ主催「人と組織の未来研究会」第3回「未来の方向性を描く」の講師を務めていただきます。※第3回:東日本2027年1月21日(木) 西日本2027年2月25日(木)
何かを変えようとする経営者は、何から始め、どんな順番で進めればいいのか。25年も続ける「100人のご縁」を軸に、変革のステップを伺いました。

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https://www.jemco.co.jp/seminar/2026jcworkshop/



今回お話をお聞きしたのは

「WILL(やりたいこと)、CAN(できること)、MUST(やるべきこと)」を見つめる

――何かを変えようとする時、経営者はまず何から始めるべきでしょうか。

西畑智博氏(以下、西畑氏): 自分自身の「WILL(やりたいこと)、CAN(できること)、MUST(やるべきこと)」を見つめることです。中でも大事なのはWILL。WILLがある人は、困難にぶつかっても逃げないからです。ただ、WILLができる時期は人によって違います。私も遅かった。JALに入ったのは、システムとテクノロジーで便利なサービスをつくり、会社を変えたいと思ったからですが、それが自分の言葉になったのは1990年代後半にWebビジネスを手がけるようになってからです。
 WILLが見えたら、やりたいことを1枚の紙に書く訓練をしてください。私は担当者の頃から、新しいチームの立ち上げや事業の構想を1枚紙にして、上司に持っていってきました。

――WILLを持ったら、次は何をすればいいでしょうか。

西畑氏: 関心を持つことです。本を読めばいいということではありません。外に出て異業種と交わり、世界の動きに興味を持つ。そうすると、目先の小さなことではなく、大きな変化に目が向くようになります。

大事にしている「ご縁の3の法則」とは?

――西畑さんご自身は、外とのつながりをどうつくってこられたのですか。

西畑氏: 「Tom’s Networking 100」です。もう25年以上も続けています。真剣に人と付き合い始めた頃、本当に大事にしたい人は誰だろうと、エクセルに名前を書き出したんです。20人、30人と書いていくうちに、これでいいんだと分かってきた。その人たちとは今もずっとつながっています。
 100人の一人一人にも、またそれぞれ100人のつながりがある。100掛ける100です。自分一人で全部を経験できる人間はいません。JALにいても、整備もパイロットも経験できない。でも、つながった人の経験を自分ごとにすることはできるんです。
 大事にしているのは「ご縁の3の法則」です。一つ目は「One Boat」。自分の強みと弱みを意識して補い合い、会社や部門を超えてチームになる。二つ目は「Relationship」。業界や役職、国籍や性別にかかわらず、社内外の人とフラットな関係を築き、20年、30年と付き合う。三つ目は「Face to Face」。自分から動き、自分から会いに行って共通項を探す。約束は守る。飲み会や懇親会も大事で、最後は人間力です。

――AIが当たり前になる時代でも、そこは変わりませんか。

西畑氏: むしろ大事になります。現状維持は退歩です。テクノロジーはどんどん進化するので、変化を当たり前だと思える意識が最も重要になる。そしてAIは、所詮は過去のデータの蓄積です。経験や感性、第六感といった人間力が、これからの勝負になります。

社内で変革は「助さん・格さん」を置くところから

――いよいよ社内で変革を進める段階です。何から手をつけますか。

西畑氏: 右腕となる「助さん・格さん」を置くことです。攻めと守り、自分の強みと弱みを補う両方のタイプを選ぶ。そのためにも、STEP1で自分を知っておくことが欠かせません。私は攻めが強いタイプなので、まず慎重にきちんと守ってくれる人を格さんに置きます。SAKURAプロジェクトでのその彼は、今JALの副社長を務めています。もう一人の助さんには、自分と同じ感覚で、私がいなくても私の言いそうなことを言ってくれる人を置く。
 大事なのはイエスマンではなく、信頼関係を築けるかどうか。右腕が目指しているゴールやWILLを理解し、コミュニケーションを欠かさないことです。人の本質は、うまくいかなかった時の態度で分かります。失敗したことがないという人がいたら、それは挑戦していないということです。

――体制づくりを先に考えるということですね。

西畑氏: そうです。この構成をつくらないまま意識改革を叫んでも、リーダーが強ければ強いほど浮いてしまいます。JALカードに来た時も、最初の1年は体制づくりに力を注ぎ、アクセルは踏みませんでした。体制がそろってきたところで徐々に踏み込み、3年目、4年目に一気にアクセルを踏んだ。物事には順番があるんです。

社員の意識改革に必要な「オセロ力」

――SAKURAプロジェクトでは、社内外の多様なメンバーを一つにまとめられました。

西畑氏: 社内の主要メンバーが300人。アマデウスやタタ・コンサルタンシー・サービシズなど海外のパートナーも含めると、最後はロゴ入りのTシャツを2000枚つくったほどの規模でした。合言葉は「One Boat」。ゴールはただ一つ、スケジュール通りにサービスインすること。局所でトラブルが起きても全体は崩さない。この軸を、JALの経営陣も含めて全員で共有しました。
 普通、ベンダーとの間には責任分解点があります。でも、それをやると必ずどこかで漏れる。だから「答えは一つ、責任はJALが取る。自分のところだけよければいいという考えはやめよう」と、対等なパートナーとしてメッセージを送り続けました。新しい取り組みは、最後はリーダーの覚悟です。
 それでいて、悲壮感を漂わせてやったつもりはありません。最後は部長と副部長5人で「これだけやって失敗したら道理に合わないよね」と腹落ちしていました。仕事で命まで取られることはない。遊び心は大事です。

――社員の意識改革は、どう進めればいいのでしょうか。

西畑氏: 私は「オセロ力」と呼んでいます。組織は「2・6・2」で、全員の意識が変わるわけがない。上の2割のWILLのある集団をどこまで変えられるかが勝負です。オセロを真っ白にしようとすると、そんな日は永遠に来ません。角に黒が残っていてもいい。8割ほど白くなった姿をゴールに置き、四半期ごとの単位で階段を上る。そうすれば1年でかなりのことができます。
 大事なのは、角を取れる人を見極めることです。JALカードに、ITもAIも嫌いだけれど人柄がよく、みんなから信頼されている生え抜きの社員がいました。彼を呼び出して「お前が角なんだ。お前が白になることが最初だ」と本気で伝えたら、ある時から、私が言っていたことを私のいないところで話すようになった。
 また2割の中には、3%ほどとがった人もいます。正論を言うけれど、扱いにくいと思われがちな人です。そういう人を使いこなすのもリーダーの条件で、それをやらないと彼らは会社を去ってしまいます。

――その2割は、どうやって見つけるのですか。

西畑氏: 3年間、毎月開いた社内勉強会「寺子屋Tom-san」や、社外の企業と交流する「他流試合」で、手を挙げてくるのは誰か、質問してくるのは誰かを見ていました。人材を見極める力は、経営者の大前提です。

必要なのは「陽性の挑戦心」

――最後に、受講者の皆さんへの期待を教えてください。

西畑氏: まず、ご自身のWILL、CAN、MUSTを見つめ、社内外で大事にしたいキーパーソン100人を思い浮かべてみてください。そしてリーダーは、心理的安全性を言葉だけで終わらせず、本当にそれが実現できる場づくりに真剣に注力すべきです。必要なのは「陽性の挑戦心」です。メンバーは、みんなよく見ていますから。

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