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JEMCO通信

2013-09-17 成長戦略のプロセス・手法

成長戦略徒然

文責:ジェムコ日本経営 事業開発支援センター 次世代モビリティ産業チーム 

 

このコラムでは、「競争ルールの変化にともなうチャンスを獲得するために、部品メーカーが何に取り組むべきか」、我々の考えを紹介したいと思う。 

 

 ◆過去の延長線上に未来はない 

2008年のリーマンショックから回復してきた矢先に、2011年の東北とタイの2度の自然災害により自動車産業の全世界を横断するサプライチェーンの繋がりの深さと脆弱さを改めて認識させられた。また、欧州の信用収縮の連鎖、米国の債権に過度に依存した財政の破綻懸念の結果、購買力の低下、円高が全世界同時に押し寄せた。さらに、TPPに対する日本の政策が予断を許さぬ中、企業1社の努力範囲をはるかに超えたリスク要因や不確実性が企業経営に大きな影響を与えることをこれほど痛切に感じた年はなかったかも知れない。我々は、サプライチェーンの再構築と生産拠点の新興国シフトだけでは乗り切れない大きな潮流にあることも確かに感じ始めている。小説『坂の上の雲」の様に、前のみを見ていたかつての日本人の行動様式は、今や新興国に引き継がれ、日米のメーカーは正に凋落まじかなバルチック艦隊と受け止められているようである。そんな彼らと現地生産でコストや品質で闘おうとしているのである。「これまでの延長線上にビジネスはない」かもしれないとの認識で、新たな取組みが求めれている。このような市場環境の中、われわれは、自動車産業のみならず、異業種としての電子・機械・素材・ITメーカーのコンサルティング活動を通して、異業種連携によるクルマの新しい価値創出こそが我々の取り得る戦略として考えるに至った。 

◆技術の変化→顧客の変化→土俵の変化

モノづくり日本では、技術の変化のみ着目されているが、米国では競争の軸を転換して土俵を換えようと企み、欧州ではアーキテクチャをおさえて競争を優位に展開しようとする傾向がある。日本はオセロゲームで勝つための布石であるコーナーを抑えることに集中するより、一つずつのピースをひっくり返すことに終始していることが多い。競争の原動力が看板生産方式に代表される「生産技術」から、電池や素材、燃費向上の触媒やモーターといった「技術開発」さらには、顧客価値指向の「マーケティング」にシフトしつつある。新興国で勃興するメーカーに対抗するためには、コストや品質も重要だが、加えてクルマ自体の価値をあげる(即ち売れるクルマ)ためには、顧客への新たな提供価値を創出するしかないとの結論を得る。

 

 

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