【官能検査とは?】その特徴や成功の4つのポイント
文責:ジェムコ日本経営
官能検査とは、人間の5感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)を用いて、製品やサービスの品質特性を評価・測定・検査する方法です。人のスキルに依存しがちで教育・訓練が難しいものでもあります。
目次
官能検査とは何か
官能検査とは、人間の5感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)を用いて、製品やサービスの品質特性を評価・測定・検査する方法です。
例えば、組み立て具合や塗装の色目などを目視で検査をしたり、表面のざらつきを手で触って検査をするなど、機械による測定では捉えきれない感覚的な特性を、人(検査員)が計測機器にかわって判断します。
官能検査の主な特徴と目的
官能検査の主な特徴と目的としては、下記のようなことが挙げられます。
●五感を用いる
人間が持つ感覚器官を活用し、製品の総合的な品質を評価する
●数値化できない感覚の評価
色合いの微妙な違い、肌触り、においなど、数値では表現しにくい感覚的な品質不良を検出
●顧客目線での評価
消費者がどのように製品を感じるかという視点から品質を判断できる
官能検査の課題
これまで述べてきたように、検査員の感覚によって良し悪しの判断をする官能検査は、下記のような課題が考えられます。
●個人差・バラつき
検査員の体調や主観によって判定にバラつきが生じる可能性がある
●表現の難しさ
感覚を数値として正確に表現することが難しい場合がある
官能検査は、機械や設備では分からないような精緻な判断が出来るという良さがあります。しかしその反面、定量化が難しい人の感覚に頼っているために検査員のスキルや、検査環境の状況如何では検査の精度が大きく悪化する危険性もあります。適切に運用しなければ、品質の確保は出来ない難易度の高い検査方法とも言えるのです。
官能検査を成功させるためのポイントとして、主なものは以下の4点が挙げられます。
官能検査を成功させるための4つのポイント①検査基準を明確に
官能検査は、検査員の五感によって良し悪しを判断するので、基準を明確にする必要があります。
定量的基準:官能検査でも定量的基準が先ず優先されるべき。外観検査での異物の大きさをはじめ、キズの長さ、甘みの強さ、音の大きさなど、技術的に計測可能な特性は定量値で基準を作る必要があります。
定性的基準:計測が難しい特性は定量的に決めます。例えば異物の形状などは、「この形はOK」「この形はNG」などの定性的な表現で規定することになります。
官能検査を成功させるための4つのポイント②基準を体得するための見本類の整備
基準に対して、検査員が目視で判断できるように訓練をする必要があります。訓練のツールとして重要なのが、見本あるいは限度見本と呼ばれるもの。見本には、典型的な良品を例示する良品見本、特定の不良を例示する不良見本があります。さらに限度見本には「これはOKだが、これ未満はNG」という良品限度見本、「これはNGだが、これ未満ならOK」という不良限度見本があります。
見本類は、訓練の場面だけでなく、実際の検査実務の中でも、合否の判定に迷った時に、対象となる検査品と見本とを比較して判定することが出来るので、現場に常備しておきましょう。
官能検査を成功させるための4つのポイント③環境の整備
官能検査は、検査精度が環境によって大きく左右されます。例えば、検査をする場所で照明の強さ・光の当て方や色、周囲の騒音、職場の温度湿度などを、コントロールすることが必要になってきます。検査に使う治工具の整備、顕微鏡や拡大鏡の整備、そして見本類の定期的なメンテナンスも重要です。
官能検査を成功させるための4つのポイント④検査作業の標準化と教育
検査基準と環境を整備したら、検査作業を標準化します。具体的には検査手順、検査方法などの検査作業を決めます。教育・訓練によって基準を理解させ、その基準を適切に運用できるような作業手順を教え、作業者の力量を見極めて検査を行ってもらうことで、官能検査は機能します。