生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第14回 倉庫の使い方】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
14回目の今回は、「倉庫の使い方」についてです。
現場は改善できても倉庫には気が回らない?
作業をする現場はいろいろ改善するのに、倉庫には気が回らない企業を時々見かけます。
下記のようなことに心当たりはありませんか?
●置き方がいい加減で、適当に置いている
●製品も材料もいっしょに置いている
●壊れた機械や遊休設備まで置いてある
●倉庫の隅はモノの吹き溜まりになっている(要らないモノ、壊れたモノの仮の置き場になっている)
倉庫の使い方の基本とは?
倉庫の使い方の基本は、「一番よく使うものを入り口に、あまり使わないものを奥に置く」ということです。
高さも重要です。一番使い易い高さは「地面の高さ」。次は、地上から1~2メートルといったところでしょうか。それ以上高いところは、フォークリフトを使わなければ下ろせません。
フォークリフトを使う倉庫では、その通路を十分確保してください。
繁忙期に倉庫がモノであふれて、通路まで置いてしまうのは絶対に避けなければなりません。「忙しい時にモノが増えるのは当たり前」という感覚がこれからは通用しなくなります。
忙しい時は忙しいなりのモノの動き
モノの作り方の改革で、「忙しい時は忙しいなりのモノの動き」ができなければなりません。まとめ作りはもってのほか。それを倉庫に入れる手間と保管の手間を考えてください。ロスが大きすぎます。
倉庫に保管する時は「必ず表示をすること」
さらに倉庫に保管する時は「必ず表示をすること」。当たり前のようですが、表示のないモノが置かれているませんか?
品名のほかに、「いつまで」「誰が」保管・管理しているのか、「出荷先はどこか」などの情報も必要です。
できるだけ先入れ先出しにするのは当然。中のモノを出荷のために出すために、他の品物をどかすことを「荷繰り」といいますが、“ロスの極地”ともいえます。
倉庫の使い方で工場の管理レベルが分かります。現場だけでなく、目を向けにくい倉庫のようなところにも気を配ってください。