生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第20回 油漏れ】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。この「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
20回目の今回は、「油漏れ」についてです。
油漏れの弊害で考えられる5つのこと
切削機など油を使う機械や、油圧の装置など油を使用する職場はたくさんあります。そこでよく見受けられる問題点として「油漏れ」があります。
油漏れの弊害は何でしょうか。例えば下記のようなことが考えられます。
●設備が汚れること
●製品に付いて品質問題を起こす
●床がぬるぬるして汚れる
●滑りやすくなって危険性が増える
●油の購入金額が増える
設備的に見ても、冷却や潤滑で使用している油が漏れていると、量が減り、焼付けや切削不良を引き起こす危険性があります。製品のみならず設備にも悪影響のあることは間違いありません。
応急処置だけだと設備の故障につながることも
設備が油漏れを起こしてして床に油が溜まるために、ウエスなどを置いてふき取りや吸収させて、その場しのぎの対応をしている工場は実に多く、これが定常化してしまっています。床の上のウエスは見た目もよくありません。
これは根本的な油漏れ原因を追究・対策せずに応急処置ですましているからで、いずれ設備の故障というトラブルとなって大きな問題になります。
油漏れは設備が示すトラブルの兆候
ちょっとでも油が漏れていたり垂れていたら、すぐ不具合箇所をみつけましょう。
ある工場では、設備の清掃をしたら油漏れが見つかった例もあります。そこでは長年油漏れがあったのに気にしていませんでした。実は油の通る経路に亀裂が入っていて、そのまま放置していたら大きな問題になるところでした。
油漏れは設備が示すトラブルの兆候です。的確に捉えて的確に対処しましょう。