生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第35回 流れの単位】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
35回目の今回は、「流れの単位」についてです。
ある機械加工工場での悩み
ある機械加工工場での悩みの話です。
まずは「停滞品が多い」ということ。それと、進捗確認が大変で毎月行っている「棚卸しの時間がかかる」というものでした。一つの容器に入っている部品の数が多く、なおかつ製品によってばらばらで、その容器がたくさん溜まっています。
作業指示の単位個数を半分に
これらを解消するために、まず、作業指示の単位個数を半分にすることを実施しました。
従来は100個単位で容器に入れて流れていたものを、50個にするということです。そのかわり作業指示が倍になります。
事務作業は煩雑になりましたが、確かに仕掛品の量が減って、流れがよくなったように見えました。ただ、それが大きな効果かと言うと疑問で、「少し減ったかな」と言う程度に留まりました。
容器に入っている品目と数量を表示
次に、容器に入っている品目と数量を表示するようにしました。
これは、モノ探しの時間を短縮することが狙いです。なおかつ、置く場所をコロコン上に限定したので、よく見えます。探しやすくなりました。
容器に入れる数量の統一
最後に、容器に入れる数量の統一です。これは時間がかかりました。どんな製品でも1つの容器に入っている量が一定であれば、容器の数を数えるだけで仕掛り数量を知ることができます。
しかし、製品の大きさもまちまちで、ロットサイズもいろいろ。同じ容器での運用は無理と分かったので、幾つかの大きさの容器を用意して、実施しました。どうしても半端数量が生じるので、それだけを大きく容器に表示するようにしました。
時間の削減、数量の確認も容易に
これらの対策で、停滞品の量は多少減っただけにとどまりました。しかし、顧客からの問い合わせで加工の進捗状況の確認のために現場を探し歩く時間は大きく削減でき、数量の確認も容易にできるようになりました。
まだ、不良品などで数量が変わった場合の対応など問題は残っていますが、今後さらにしくみを改善して問題を潰していく活動を継続する予定です。