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JEMCO通信

2025-05-27 生産の基本論

生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第37回 ストックポイント】

文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊

皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしてまいります。
37回目の今回は、「ストックポイント」についてです。

仕掛品が停滞する場所

仕掛品が停滞する場所はどうなっていますか?コントロールしないと、あちらこちらに発生して収拾のつかないことになってしまいます。
作業者は放っておくと、自分の都合のいいところに好き勝手に置いてしまいます。そこで「置く場所を限定・固定してしまおう」ということになるのですが、さてどこに置くべきでしょうか?

「今加工中の仕掛品」と「次に加工する仕掛品」だけを置くのが原則

設備の横には、「今加工中の仕掛品」と「次に加工する仕掛品」だけを置くのが原則。1個流しの場合には置く必要はありません。ロット流しの場合のみ、ストックポイントを設計しなければなりません。

設備グループ単位で一箇所だけストック

設備ごとに大量のストックがあるというところは、まず設備グループ単位で一箇所だけストックするようにしてください。
だいたい5~6台の設備を1つのグループ単位として考えた場合。この中にストックは置かず、設備の間は最低仕掛量でモノを流しましょう。ロットであれば1ロットだけです。容器1個が流れの単位です。
1グループ単位の間はできれば1ストック単位だけで運用できればいいのですが、それが難しければ、ある程度のストックを持つ。これも無秩序にならないようにコントロールしてください。

加工単位が変わるところがストックポイント

ライン全体で考えるとき、ストックは持つべきところを決めてしまいます。加工単位が変わるところが、そのストックポイントになります。
例えば、長い丸棒を切断して製品の大きさにする切断工程は、加工単位は材料の丸棒の本数になります。それ以降の工程は、切断した材料を容器に入れて流すとすれば、切断後が加工単位が変わるところであり、そこにある程度のストックを持つということです。そして以降の工程の要求に応じてストックから必要数を払い出します。切断工程は、一定量の基準在庫を下回ったとき補充する形で加工します。

ストックは加工度の低い段階で持つのが原則

あるいは熱処理など、どうしてもバッチでの加工になるところも連続して流せないので、ストックポイントになります。熱処理前か熱処理後に、基準の在庫を設定するというやり方です。
ストックはできるだけ上流、つまり加工度の低い段階で持つのが原則です。在庫に加工費が加算されない状態でストックするということです。ただしこれもリードタイムとの兼ね合いで変わってきます。客先の要求リードタイムのところでストックを持つ方法もあります。
いずれにせよ、ストックはないほうがいいです。もし、持つのであればその最適なポイントを設定し、コントロールして持つようにしましょう。

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