生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第53回 検査のポイント③】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第53回 検査のポイント③」についてです。
検査は同じところでするべき?
検査は、同じところでするのが当たり前と思っていませんか。検査室や中間・最終検査エリアを設けて、そこに流れてくる製品をチェックする。そこには検査装置や検査治具が準備されていて、全品検査を行っている・・・。
検査のための装置が大掛かりになる製品では、固定せざるを得ないでしょう。しかし製品が手に持てるくらいの大きさで、特段大きな専用の設備を必要としない場合には何も固定する必要はありません。
作業者自身が測定し、品質をチェックするのが検査の基本
作業者自身が測定し、品質をチェックするのが検査の基本。それプラス中間や最終の関所でさらに詳しくて厳しい検査を行い、不良品を流出させない体制も重要です。
インドネシアの化学製品工場の話
インドネシアのある化学製品工場では、工程でのセルフチェックと中間検査の代わりにQC担当者が巡回検査を行っています。QCと大きく書かれたユニフォームを着用した品質担当者は、工程を回りながらランダムに仕掛品を取り上げ寸法や外観の検査をします。同じ場所で同じ検査をするのではなく、検査箇所を変えながら抜き打ちでチェックする。問題あればその場で作業者に注意して指導する。固定した場所での中間検査よりも問題発見が早くなります。さらに技量的に劣る作業者や、常に出来栄えに問題のある作業者へのチェックは頻度を高くして、重点的に巡回検査します。そうすると、工程中の品質的な弱点のポイントで品質トラブルを発生させる危険性が低くなり、全体の不良発生件数が少なくなります。
ちなみにその工場では、QC担当者は発見した不良の数が査定にプラスとなり、作業者のほうは不良の数が査定にマイナスとなります。この査定結果は給料に直接反映されるので双方とも必死です。
※「QC」とは「Quality Control(品質管理)」の略。製品やサービスが顧客の要求する品質基準を満たしていることを保証する一連の活動を指します。顧客の立場から、製品やサービスのライフサイクル全体を通して品質を担保し、顧客に安心と満足を提供することを目的とします。