生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第60回 配膳】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第60回 配膳」についてです。
配膳とは?
配膳とは、あらかじめ次の作業に必要部品や材料を準備して、作業する場所に供給しておくこと。あるいは、作業中に無くなってきた部品を追加で供給する行為も配膳の一種です。
この配膳は、作業者が準備する手間を排除してすぐに次の作業に移れるという意味で、効率的なしくみといえます。
配膳もルールが必要
ただし、配膳もルールを決めておかなくてはなりません。例えば、供給するタイミング。
配膳は台車を使って行われるのが一般的です。この台車がいくつも工程の前に置かれている状態は、5S的視点から言っても問題があります。まだ使わないモノ、次の次に使うものまで配膳していては、これは「停滞」ということになり一種の「在庫」です。これは配膳のタイミングが早すぎることから生じます。どんどん次から次へと配膳することは、配膳担当者にとっては効率が上がるかもしれませんが、置くスペースも台車も余計に必要になり、全体最適とはいえません。
配膳は適切なときに供給することがポイント
逆に配膳担当者が忙しくて、工程に部品がなくなったのにいつまでも配膳されないと、工程がストップしてしまいます。その場合は何らかのアラームを発生させなければなりません。「もうすぐ部品がなくなるよ」という合図です。
いずれにしても配膳のタイミングが不適切であると停滞を招くか、欠品を引き起こすので、いかに適切なときに供給するかがポイントになります。
供給のタイミングを配膳担当者が見計らうというのはロスがあるので、やはりこれは作業者のほうからの合図で供給することがベターです。
ある工場での事例
ある工場での事例をご紹介します。
そこでは、2台の配膳台車を使いまわしています。1台の配膳台車が空になると所定の置き場所に出して、そこにある2台目を自分の工程へもって行きます。配膳台車置場に空台車が置かれると、配膳担当者がその台車へピッキングをします。その間に作業者は、もう1台の配膳台車から部品を取ります。それが空になる前に1台目の配膳台車のピッキングを終了させ、再び配膳台車置き場所に置いておきます。この繰り返しで、2台の配膳台車を使いまわして停滞も欠品も発生させないようにしています。




