生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第64回 間違いの防止-3】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第64回 間違いの防止-3」についてです。
サイズの違うねじを手に取っていたある工場での例
ある電気製品の組立工場に行ったときのことです。
現場で、たくさんの作業者が製品を組み立てています。ほとんどがネジ止めの作業で、電動ドライバーを片手に一生懸命作業をしています。その様子を観察していたときに、1人の作業者が何回かネジをねじ込もうとしてもうまくできずに、時間を取られていました。そして、最終的にそのネジの寸法が微妙に違うことに気が付いて、正しいネジを取り付けることが問題を解消しました。
なぜサイズの違うねじが手元にあったのか?
もし、強引に違うサイズのネジを押し込んで止めたとしたらどうなっていたでしょうか。もしかすると、ネジが外れて故障の原因となるかもしれません。そのような要素が、その作業にはあったということです。
では、なぜサイズの異なるネジがあったのでしょうか。
間違いが起こってしまいそうな配置に問題が
ネジをいれている容器を見たとき、その原因が分かりました。そこには容器が3~4種類並んでいて、それぞれの微妙に異なるサイズのネジが入れてあるのです。容器が接近して並べてあるので、お互いの容器に違うサイズのネジが紛れ込んだのでしょう。たくさんのネジの中に、一個だけちょっと寸法の異なるネジが入っていても一瞬では分かりません。
その作業ではネジをまとめて手でつかんで作業をしていき、そのネジを使う作業が終わると、余ったネジをもとの容器に戻していました。おそらくその時に間違えたのでしょう。
似たような部品は離して置くことが原則
この場合、混入の恐れのある似たような部品は離して置くことが原則です。ネジのサイズ別にきれいに容器を並べることは、見た目はよくても間違えやすいのです。わざとサイズをばらばらに置いて、となりのネジが紛れ込んでもすぐわかるようにすることで間違いを防ぐことができました。
見かけの似ているものは見間違いが起きやすいので位置を変えるとか、明確な区別をするなどの改善で間違いを削減することができます。




