生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第66回 梱包の改善-2】
文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊
皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。ジェムコでは、「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
今回は、「第66回 梱包の改善-2」についてです。
目次
製品に合わせてダンボールを用意していたある工場の事例
ある工場で、梱包の改善を支援したときの話です。
そこでは製品の種類が非常に多く、サイズも様々でした。製品の大きさに合わせたダンボールを用意してあるので、ダンボールの種類だけで数十種類に及びます。その量と種類の管理でかなりの工数を割いていました。しかしダンボールの管理は製品の付加価値を高めません。言ってみればムダ作業です。したがってこれを削減することを検討しました。
商品にピッタリのダンボールが制約条件である理由は?
まず検討したのが、ダンボールの種類を減らすということです。その会社では、製品の荷姿にぴったりの大きさの箱に入れることが当たり前と思われていました。だから、ダンボールの種類が多かったのです。
「多少大きめのダンボールに製品を入れて、すきまを埋める方策は問題があるか」と問うと、誰も問題であるとは言いません。問題はないのですが、ぴったりの大きさの箱に入れることがなぜか制約条件となっていました。
似た大きさの商品は同じダンボールで対応
そこで、似た大きさの製品群を同じ大きさの箱に入れることとして、すきまを緩衝材で埋めることにしました。それにより、あまり出荷頻度の多くない製品にも、専用のダンボールを用意しているというムダをなくすことができました。このような専用ダンボールは、少量しか必要ないのに発注ロットが決まっていて、ある程度買わなくてはなりません。ほとんど動かないものがたくさんありました。
制約条件・当たり前と思っていたことの見直しでムダをなくす
次に、従来使用していた緩衝材とダンボールの規格を見直しました。3種類くらい使っていた緩衝材を1種類にして、より価格の安くて同じ機能を果たすものに変えていきました。ダンボールも強度を何度も実験して、薄くても問題のないものに変更しました。
これらの改善で、ダンボールの種類を半分以下に減らすことができました。集約によって、保管スペースの圧縮、購入量の削減、単価の引き下げに成功しました。
今まで制約条件と思っていたこと、当たり前になっていてムダと気付いていないことを再確認・再認識することで、取り払ったり無くすことができるといういい例です。




