AI時代に問われる人間力【第3回】人は何についていくのか?
文責:ジェムコ・コーオペレーションズ 松村潔
AIの時代になると、「知識」の価値は少しずつ変わっていきます。
知識以外で、どのような人についていくか
以前は、たくさんのことを知っている人が頼りにされました。豊富な経験と情報を持ち、答えを知っている人が、組織の中で大きな存在感を持っていました。しかし今は、知識そのものは誰でも手に入れられる時代になりました。検索すれば情報が出てきます。AIに聞けば、かなり整理された答えが瞬時に返ってきます。
では、このような時代、人はどのような人についていくのでしょうか。

「この人なら信じてもよい」と思わせる人とは?
私は、それはその人が持つ「人格」ではないかと思っています。
人格という言葉は、少し大げさに聞こえるかもしれません。でも、難しく考える必要はありません。言っていることとやっていることが一致している人。苦しい時に逃げない人。相手によって態度を変えない人。自分の利益だけでなく、全体のことを考えられる人。すべてが揃っている人などなかなかいないかもしれませんが、そういう人のそばにいると、人は自然と安心します。そして、「この人なら信じてもよい」と思うのです。
教皇レオ14世の言葉
教皇レオ14世がAI時代に「人間の尊厳」を語ったことは、私たちの日常にもつながっているように感じます。
人間を大切にするとは、何か特別な理念を掲げることだけではありません。目の前の人を道具のように扱わないこと。成果を出すための手段としてだけ見ないこと。その人にも迷いがあり、不安があり、希望があるのだと想像し、理解しようとすること。そういうことではないでしょうか。
人格への信頼がある組織は強い
経営や組織の中では、どうしても結果が求められます。それは当然のことです。しかし結果だけを見ていると、人が見えなくなることがあります。人が見えなくなると、信頼が失われます。信頼が失われると、組織は静かに弱くなっていくという連鎖が生じます。
反対に、人格への信頼がある組織は強いものです。完璧な人でなくてもよいのです。むしろ、自分の未熟さを知っている人の方が、人の痛みに気づけることがあります。
人を導く立場にある人に必要なのは、すべてを知っていることではありません。自分を磨き続けている姿勢です。その姿勢を、周りの人はちゃんと見ています。
AIの時代だからこそ改めて問われていること
AIが多くの答えを出してくれる時代だからこそ、私たちは改めて問われています。「自分は何を大切にしているのか」「どのような姿勢で人と向き合っているのか」と。
人は肩書きについていくのではありません。言葉だけについていくのでもありません。その人の「あり方」についていくのだと、私は思います。




