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JEMCO通信

2022-08-22 コンサルタントの仕事とは? 呟き・報告会

生産現場「改善活動」の重要性 ~事例から考える~

文責:パートナーコンサルタント 増田剛志

コンサルティングの現場で、生産現場の改善活動についてのご相談を受けることが多い。プロジェクトによる改善活動はたしかに大変なものである。
私は新卒で非鉄金属圧延業の企業に就職し、工場の生産技術課に配属された。その時、ジェムコのVE手法による「改善活動プロジェクト」に参加したことがある。その時の経験から、「プロジェクトによる改善活動は、工数、時間、費用が掛かるものであるが、その効果は大きい」と感じ、今も改善活動のお手伝いをさせていただいている。
今回は、その時の活動の事例について少しご紹介したいと思う。

※VE=Value Engineeringの略。「価値工学」とよばれ、製品やサービスの価値を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係で把握し、 システム化された手順によって価値の向上をはかる手法。

なぜ「プロジェクトによる改善活動」が必要になったのか
~非鉄金属圧延業の工場での出来事~

私が配属された非鉄金属圧延業の工場は、当時大変活況で、フル稼働しても生産が追いつかず、納期遅れが生じがちだった。そのような中で、品質不良も多発。現場で原因調査をし、設備改造などの対策も行う必要があった。さらに、新規ユーザーのニーズに応じた新製品や開発品の試作・製造を行い、拡販を行うことも求められていた。

毎日残業し、生産現場への条件指示や品質確認のために何度も徹夜をしたが、工場は慢性的な赤字であった。状況を打開すべく、手探りで生産技術課の勉強会を行ったり、社外の講演会や講習会にも参加して情報取集を行ったが、数年努力を続けても、改善の見通しは得られなかった。

それと時を同じくして、他事業部の省エネ活動でジェムコのVE手法による改善活動が行われていた。そしてその活動が成果を上げたということもあり、我々の工場でも同様の活動「プロジェクトによる改善活動」を行うことにした。工場全社員800名から20名を専任メンバーとして選定することになり、私はメンバーに選ばれた。専任メンバーたちは半年間、改善を進めるプロジェクト活動を進めることとなった。

改善活動で特に参考になった4つのポイント

しかし、私は当初プロジェクトに消極的だった。省エネ活動に効果があったのは石油プラント事業。私たちが配属されていた非鉄金属圧延業の工場のバッチ操業や小規模な装置産業に適用できるのだろうか、という不安があった。私はメンバーに選ばれたものの「ジェムコのお手並み拝見」という気持ちでいた。

プロジェクトは、月1回ジェムコのコンサルタントが来場する形で進められた。チーム毎に課題が与えられ、それを次回の会議までにまとめ、報告するということが数カ月続いた。課題は厳しいものだった。しかしそれをこなす中で、私は「この活動を進めると慢性赤字は解消できる」と確信するようになった。ジェムコの活動で参考になったことはいくつもあるが、その中で代表的なものは下記の4つだった。

■設備・機器・工程の機能・目的を分析
 今まで当たり前に考えていた設備・機器・工程を一から見直すことで新たな問題点が見えてきた。また、理論式で設備負荷条件などを試算する手法を考案し、現場の生産性比較を行うことで差異を明確にした。

■問題点を解決する案や、設備改善・新設などをできるだけ多く検討
 従来の対策は、思いつきや他社の設備の真似をする設備改造のために、失敗や思い通りの成果を得られないことが多かった。プロジェクトではメンバーや現場の意見を抽出しながら、様々な改善案をまとめることで抜けのない案を検討した。

■改善案の改善効果と投資金額や技術難易度などをまとめ、関係者による改善案の選別や優先順位などの意思決定を見える化できる仕組みを構築
 改善効果は、品種毎の歩留向上や設備毎の生産性向上の効果を簡単に金額換算できる表を作成。設備改造は、過去の投資額などを整理し、メンバーが自ら積算した。そのためメンバーは改善効果と投資費用を天秤にかけながら最適な案を検討することが可能となった。過去の設備投資は、希望する機能をメーカーに要望し、投資額はメーカーまかせであったために、効果金額とのバランスを欠いた高額投資になることが多かった。

■検討した改善案の効果金額と投資金額、生産を考慮した実施計画を作成
 「最大効果案」「最大投資効率案」などの総合案を作成し経営層に提示して選択してもらう仕組みである。半年間の活動は、プロジェクトメンバーにとって大変勉強になるものであり、本プロジェクトの提案内容には自信があった。

予定以上の効果が得られ黒字工場に
~プロジェクトのその後~

プロジェクト自体は、市場変化などで提案した実行計画通りにはいかない部分があった。その後、数年遅れて必要な設備、工程に応じてプロジェクトで提案した改善案が実施された。そして、計画以上の効果を得られ、製品構成の高度化にも対応し、慢性赤字体質を脱却。以降、黒字工場に変貌した。

その後、工場の改善活動として、品質改善ツールである「FMEA」、安全対策である「リスクアセスメント」にも取り組んだ。それぞれ大きな成果を上げることができたが、その手法はジェムコで学んだVE手法と同じである。いずれも、①あらゆる可能性を想定し品質不良や災害をリストアップ、②それぞれに対策を考案し、③重要度に応じて優先順位を付けて対策実施するものである。

最近、VE手法は地方自治体の公共施設の建設などにも適用されており、民間企業以外でも活用されている。冒頭でお話した通り、プロジェクトによる改善活動は、工数、時間、費用が掛かるものではありますが、その効果は大きいもの。

国内の生産現場を改めて改善するのは「今でしょ」。

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