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JEMCO通信

2026-07-23 コンサルティング トピックス

在庫削減と安定供給を両立?サプライチェーンマネジメント(SCM)の重要性

文責:ジェムコ日本経営

在庫削減と安定供給という相反する目標を両立させることにも、サプライチェーンマネジメント(SCM)は重要となります。その重要性とアプローチとは?

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

SCM(サプライチェーンマネジメント)は、単に物流や在庫を管理するだけにとどまらない、より広範な経営管理手法です。これは、原材料の調達から製品が顧客の手元に届くまでの全てのプロセスを統合的に管理し、全体の最適化を目指す取り組みです。

導入によるメリットとは?

サプライチェーンマネジメント(SCM)を導入することでどんなメリットがあるでしょうか。例えば、単に業務プロセスを効率化するだけでなく、企業の競争力を劇的に向上させる多様なメリットをもたらします。コスト削減、リードタイム短縮、顧客満足度の向上といった直接的な効果はもちろん、予測不能なリスクへの対応力強化や経営判断の迅速化まで、SCMは企業の持続的な成長を支える経営戦略となり得ます。
今回は、強いSCMが「在庫削減」と「安定供給」を両立させるか考えてみましょう。

強いSCMが「在庫削減」と「安定供給」を両立する?

「在庫削減」と「安定供給」は、一見すると相反する目標のように思えます。多くの企業で、どちらかを優先するともう一方が犠牲になるというジレンマに直面しているのではないでしょうか。部門ごとの最適化という「点の管理」から脱却し、サプライチェーン全体を一つの流れとして捉える「線の管理」、すなわち「全体最適」の視点を持つことによって、この二つの目標は両立可能になります。
サプライチェーンマネジメント(SCM)における「全体最適」とは、各部門が個別の目標達成を優先する「点の管理」とは一線を画します。例えば、営業部門が売上目標、生産部門が稼働率、購買部門が仕入れコストといった個々のKPIを最大化しようとすると、往々にしてサプライチェーン全体としては非効率が生じます。これに対し「線の管理」としての全体最適は、原材料の調達から生産、物流、販売、そして顧客への配送に至るまで、サプライチェーン全体のパフォーマンス、例えば「総コストの最小化」「総リードタイムの短縮」「顧客への納期遵守率の最大化」といった共通の目標を追求するアプローチを指します。
全体最適を実現するためには、サプライチェーンに関わる全部門が共通の目標を持ち、リアルタイムで情報を共有し、連携して意思決定を行う状態を構築することが不可欠です。これは単に在庫を減らす、といった部分的な施策に留まるものではありません。現場の担当者が「この計画通りに進めれば、欠品のリスクも、過剰な在庫を抱える心配もない」と確信できるような、信頼性の高いシステムとプロセスを確立することができれば、現場の不安を解消しながら抜本的な改革を進めることが可能になるのではないでしょうか。

全体最適を実現するための具体的なアプローチ⓵:需要予測の精度向上が在庫を減らす

全体最適を実現するための具体的なアプローチの一つとして、需要予測の精度向上があります。不確実な需要は、過剰な安全在庫を抱える原因となるだけでなく、予測が外れた場合には欠品を引き起こす根本的な要因ともなります。しかし、予測精度を高めることができれば、不必要な安全在庫を大幅に削減することが可能となり、キャッシュフローの改善にも繋がります。
需要予測の精度を高めるためには、単に過去の販売実績データだけに頼るのではなく、多様な情報を統合的に分析することが求められます
近年では、AIなどを活用した高度な需要予測ツールの導入が、予測業務の属人化を防ぎ、精度向上に貢献しています。これらのツールは、膨大なデータを高速で処理し、複雑なパターンを自動で学習することで、人間だけでは見つけにくい需要の兆候を捉えることができます。これにより、より精緻な生産計画や発注計画を立てることが可能となり、在庫の最適化と安定供給の両立に大きく寄与します。

全体最適を実現するための具体的なアプローチ②:サプライチェーンの可視化が安定供給を支える

サプライチェーン全体の「可視化」もあげられます。ここで言う可視化とは、自社の工場や倉庫の状況に留まらず、サプライヤーの生産進捗、輸送中の貨物の位置、さらには販売店の在庫状況といった、サプライチェーン上のあらゆる「モノ」と「情報」の動きをリアルタイムで把握できる状態を指します。この可視化によって、予期せぬ問題が発生した際に迅速かつ的確に対応できるようになり、安定供給体制の維持に大きく貢献します。
例えば、ある特定の拠点での在庫が計画を下回り、欠品リスクが発生した場合、可視化されていれば、他拠点の余剰在庫を迅速に引き当てたり、生産計画を柔軟に調整したりといった対応が可能になります。また、輸送遅延やサプライヤー側の生産トラブルといった問題が起こった際にも、リアルタイムでその情報を把握できるため、顧客への納期への影響を最小限に抑えるための代替策を早期に検討し、実行に移すことができます。

全体最適を実現するための具体的なアプローチ⓷:リードタイムの短縮がもたらす効果

全体最適を実現するための三つ目のアプローチとして、「リードタイムの短縮」は、在庫削減と安定供給の両立に極めて大きな効果をもたらします。ここで言うリードタイムとは、具体的には「調達リードタイム」「生産リードタイム」「配送リードタイム」などがあげられます。
リードタイムが短ければ短いほど、企業は需要の変動に対して迅速に対応できるようになります。リードタイムが長いと、将来の需要をかなり先まで予測して生産や発注を行う必要があり、その予測が外れると過剰在庫や欠品のリスクが高まります。しかし、リードタイムが短縮されれば、直近の確度の高い需要情報に基づいて生産・発注を行うことが可能になり、見込みで生産・発注する量を減らし、受注してから対応する割合を増やすことができます。これにより、本質的に在庫を削減し、陳腐化のリスクを低減することが可能になります。
さらに、リードタイムの短縮は、企業のキャッシュフロー改善にも直接的に貢献します。製品が現金化されるまでの期間を示す「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」が短縮されるため、運転資金の効率が向上し、企業の財務体質を強化することに繋がります。加えて、緊急輸送や保管コストの削減、顧客への納期遵守率の向上といった間接的な効果も期待でき、サプライチェーン全体の効率性と競争力を高める上で欠かせない要素となります。

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