日本の製造業が挑む三位一体の企業変革 ~外部環境をふまえた経営アジェンダマップ〜【②事業構造層】
文責:ジェムコ日本経営 取締役社長 森岡琢
2026年、日本の製造業を取り巻く環境は、これまでにない不連続な変化の中にあります。トランプ政権2期目(トランプ2.0)による関税政策の激変、米中デカップリングの固
定化、そして国内における深刻な人手不足とエネルギー制約。これらの外部要因は、もはや一時的なショックではなく、世界の秩序が再編される過程での構造的リスクとして
定着しました。このような時代において、企業の持続的な成長を実現するためには、一部門の改善や特定施策への点の介入では不十分です。私たちは、「経営戦略層」「事業構造層」「事業構造層」の3つの階層を一つのシステムとして機能させ、連鎖的に価値を生み出す「経営アジェンダマップ2026」を提示します。
今回は、「現場実行層」における要点と、それらがどのようにつながり、企業変革を成し遂げるのかを解説します。
目次
収益モデルと資産の再構築
戦略を具体的な形にするのが事業構造の設計です。ここでは、従来のモノづくりの枠組みを根底から変えることが求められます。
モノ売りから資産・サービス型モデルへの転換:ライフサイクル全体で稼ぐ
製品を売って終わりのビジネスモデルは、資源高や市場飽和の影響を強く受けます。稼働監視や保守メンテナンス、あるいはサブスクリプションを通じ、製品のライフサイクル全体で顧客価値を提供し続けるサービタイゼーションへの転換を図ります。これにより、景気変動に左右されない安定した収益基盤を確立します。
②AI・ロボットを前提とした自律型オペレーション:「人が来ない」を前提としたプロセス設計
日本の生産年齢人口の減少は加速しており、2026年には人手を確保できることがプレミアムとなる時代に入っています。従来の、人を支援するツールとしてのAIではなく、AIやロボットが主役となり、人間はその例外対応を行うという、自律型オペレーションを前提とした業務プロセスの再設計が必要です。
③技能の組織資産化とナレッジマネジメント:個人の暗黙知を会社の知の資産へ
ベテラン技術者の退職による技能承継の断絶は、製造業の存立を揺るがすリスクです。個人の経験や勘に基づく暗黙知を、AI解析やデジタルツインを用いて形式知へと変換し、組織全体の共通資産として蓄積・活用する仕組みを構築します。
次回は、【現場実行層】についてご紹介します。
「利益・生存・価値」の連鎖を創り出すために
ご紹介した経営アジェンダマップは、それぞれが独立しているのではなく、密接に連動しています。戦略層での「地経学レジリエンス」は、実行層での「ロス予兆検知」による安定生産に支えられ、構造層での「サービス型モデル」は、戦略層での「ROIC経営」を加速させます。
経営トップの使命は、これら「戦略・構造・現場」を一本の糸でつなぎ、全体を一つのシステムとして機能させることにあります。どこか一箇所を変えるのではなく、全体を再定義すること。
その変革の道のりを、私たちジェムコ日本経営は、常に現場に寄り添いながら、成果に直結するパートナーとして共に歩んでまいります。




