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JEMCO通信

2017-11-21 成長戦略のプロセス・手法

『新規事業から描き始める成長戦略』第4回:タマの事業化戦略(パート2:戦略構想)と新規事業のバリューチェーン構築

 

文責:ジェムコ日本経営 成長戦略コンサルティング事業部 事業部長 森岡 琢 

前回(第3回)では「タマの事業化戦略」(パート1:戦略検討与件の明確化)について解説しました。

戦略検討与件の明確化とは、戦略構想に影響を与える情報の収集・整理・分析・解釈を行うこと。

具体的には、

(1)競合企業の実態調査

(2)受容性調査(フィールドワーク)

(3)参入障壁分析

といった活動を行うことになります。

戦略検討与件を明確化した上で、戦略を構想するわけですが、難しく考える必要はありません。

◆押さえるポイントは「誰に」「何を」「どうやって」

押さえるべきポイントは3つしかありません。

・誰に(Who)

・何を(What)

・どうやって(How)

提供するのかを考えることです。

◆「誰に」とは顧客の定義

「誰に」とはつまり顧客の定義です。具体的な顧客名をすぐに挙げがちですが、そうではなく「どんな課題を持った企業(or個人)なのか?」という問いかけをもとに顧客を定義します。

一般的に顧客とは自社にお金を払ってくれる企業(or個人)と定義できますが、顧客の顧客、さらにそのまた顧客とは?

まで定義づけておくと、ビジネスの全体像が見えやすくなるでしょう。

◆「何を」とはソリューション

「何を」とはタマを活用した製品なりサービスなりソリューションを指します。タマそのものが商材になる場合もありますが、上記でも触れたように顧客の課題を解決できるような「状態」に姿を変えて提供する必要があります。

前回解説した受容性調査の結果もふまえて、「タマ」を「商材」に変える行為と言えます。

◆「どうやって」とはビジネスデザイン

「どうやって」とは単にデリバリの方法を指すのではありません。川上から川下までどういうバリューチェーンを構築して商材を顧客に届けるかというビジネスデザインを行います。

バリューチェーンの日本語訳は価値連鎖と言う通り、川上から川下に進むごとに(付加)価値が積み重なることになります。

競合優位に立つにはその価値が競合より「相対的」に大きくなる必要があります。

ゆえに戦略与件の明確フェーズで競合企業の実態調査が必要となるのです。

いま、「誰に」「何を」「どうやって」提供するかを考えることについて説明しましたが、戦略構想のうえでは、実はもう1点大切なことを考えなくてはなりません。それは「どうやって儲けるのか?」ということです。

顧客は(付加)価値の大小だけで選ぶわけではありません。

最終的には価値と価格のバランスをみて選ぶことになります。誰に支払い、誰から支払ってもらうのか、バリューチェーンの設計とあわせて収入・支出モデルも描くことにより、戦略と呼ばれるものが仕上がっていくことになります。

◆新規事業のバリューチェーン構築には柔軟な発想が必要

最後に「新規事業のバリューチェーン構築」について解説します。前述した「どうやって」を検討する際、自前ですべて揃えることは困難なことが多いのが一般的です。新規事業であればなおさらのことです。「新規事業のバリューチェーン構築」には、将来的なM&Aも含めたアライアンス・提携といった柔軟な発想が必要です。

どの領域でアライアンスや提携が必要なのかを検討する際のステップを簡単に記します。

1. バリューチェーン毎に具備すべき要件を抽出する(当然複数の要件が存在する)

2. 各要件毎に自社の具備度合いを評価する

3. 具備していない要件を自前で獲得する場合の難易度を評価する

4. 具備していない要件のインパクトを評価する(その用件が差別的かどうか)

このプロセスを経て、「要件の具備難易度が高い」かつ「要件を具備した場合の差別性が高い」領域にて優先的にアライアンスや提携を検討するとよいでしょう。

今回は以上になります。

次回(第5回)はいよいよ実践フェーズである「市場創造・顧客開拓」についてのポイントを解説します。

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