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JEMCO通信

2025-05-07 生産の基本論

生産の基本論~ものづくりの達人になるためにおさえるべきツボ~【第34回 置かない工夫】

文責:ジェムコ日本経営 コンサルタント 原 正俊

皆さんは、「IE」という言葉をご存じでしょうか?IEは、Industrial Engineering の略称で「生産工学」などと呼ばれ、「生産性向上」と「原価低減」を行うものです。「IE」の考え方に関する情報をコラムでお届けしております。
34回目の今回は、「置かない工夫」についてです。

仕掛品を削減するには?ある工場での例

ある工場での話です。
非常に仕掛品が多いので、削減しようという話になりました。
そこで工場幹部や現場の監督者が集まり、仕掛品削減のアイデアを出し合いました。計画の立て方を見直すとか、工程配置を再検討するというアイデアのほかに、置きたくても置けないようにするというアイデアが2~3案ほど出てきました。

工程をできるだけ近づけて、置くスペースをなくす

その中のひとつは、「工程をできるだけ近づけて、置くスペースをなくす」ということです。置くところがなければ置かないであろうという考えです。
早速実験をしてみました。置いていいところを区分して、テープを床に貼り付けて表示します。「ここしか置いてはいけない」ということを徹底するために、ルールを作り運用しました。
はじめのうちは皆がルールを守っていましたが、やがて崩れ始め、最後は元の状態に戻ってしまいました。さらにひどいことに置きたくても置けないものだから、わざわざ遠い倉庫まで運んで一時置きしていたことが発覚したのです。一見ルールを守っているように見えましたが、それは現場の周りに置かなくなっていただけで、離れたところに結局置いていたのです。

容器の形を変えて、単独ではそのまま床に置けないようにする

次のアイデアはユニークなものでした。
「容器の形を変えて、単独ではそのまま床に置けないようにする」というものです。例えば容器の下を円錐形にするというようなアイデアです。たしかにこれでは置けません。置くための台を用意しなければならず、その台があるところで、なおかつ台が空いているときにしか置けません。
このアイデアを聞いたとき、何故モノが置かれるのかを改めて考えさせられました。ほとんどの容器は底が平らで、安定しているからどこでも置けてしまうわけです。どこでも置ける容器だから人は安易に置いてしまうのかもしれません。
それを覆すアイデアが出てきたことに感心し、今はその実現に向けて運用方法の検討を重ねているところです。

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