JEMCO通信

働き方改革

働き方改革の本質(3) 組織にとって一番大切な「関係性」

文責:ジェムコ日本経営 取締役 小倉明男

 

〇会社を辞める本当の理由

最近は、どの会社に行っても「離職率が上がってしまって困ります。採用は難しいし、やめさせない努力はしているのですが・・・」

という話を聞きます。

しかし、退職の理由を聞くとはっきりした答えが返ってこないのがほとんどです。

「エン転職」の2016年のアンケート調査によると

退職理由がホンネではなかった人が47%。

表向きの退職理由は

1位が「結婚・家庭の事情」23%

2位が「体調をくずした」18%

3位が「やりたい仕事の内容ではなかった」14%

そして、やっぱりと思うのは本当の退職理由は

ダントツで

1位が「人間関係が悪かった」25%(表向きの理由では6%)

2位は「評価・人事制度に不満があった」12%

ここでもわかるように、職場での人間関係は仕事をするにおいて大きな問題なのです。この関係性が良いか悪いかで、仕事に集中して自分の持つパフォーマンスがふるに発揮できるかどうかが大きく左右されることも容易に想像できます。

〇働き方改革がうまくいかないのは良質なコミュニケーションが減ってしまったから

日本は「危うい40年の豊かさ」のなかで、あまりにも表面的な効率化を優先させてきました。しかし、大切なのは少し時間がかかっても、良質のコミュニケーションをとり、信頼を高める環境づくりをする事だったのではないでしょうか。“運動会”や“飲み会”は、良質のコミュニケーションの場だったのです。日本が誇る小集団活動もその一つだったのではないでしょうか。「皆で意見を出し合う」「腹を割って話す」「本気で訴える」など、上質なコミュニケーションの場が減ってしまったのです。

今、組織開発という事が叫ばれていますが、

組織開発(皆が働きやすく成果もでる組織をつくる)には、ハード面(目的・戦略、構造、手順・技術、制度)とソフト面(関係性、個性、能力、意識)の両面があるのですが、特に最近の日本企業は政府の働きかけもあり、ハード面だけに力点が置かれている企業を多く見受けます。今、本当に必要なのはソフト面の充実です。

〇劇的変化があったある食品会社での事例

ある食品会社の社長から相談がきました。その内容は、「社長として親会社から出向し、社内をよく見てみると、パワハラ、セクハラがはびこっていたので、ある製造幹部に辞めてもらったが、職場内がギスギスしてうまく回らなくなってしまった。私が改革を進めてきたが、何も変わらないので支援して欲しい」というものでした。まずは、工場幹部を対象に、自分の心を整えて、自分の持つ個性と可能性をフルに発揮できる状態を作る為の人間の特性を学ぶことでした。

つまり、自分の持つパフォーマンスを出せていない理由は、心が整っていない状況で部下と接したり、仕事に取り組んでいるからだという事を知っていただいたのです。それは、「何をするか」にばかり囚われていて「どんな状態でそれをするか」が、疎かになっていたからです。その後は、定期的にコンサルタントを交えて、本音でのディスカッションを行いました。

「Aさんが部下とうまくいかないのは、いつも感情をあらわにして話すので、部下が怖がって近づかないんですよ」

「Bさんの職場がいつも混乱しているのは、Bさんが親会社の会議で良い顔をして、仕事を何でも請けてくるからキャパオーバーになっているんですよ」と中々言えない事まで腹を割って話をした上で、

Aさんは「今回勉強した人間の特性に従うと、いきなり心は変えることができないから、まずは態度と表情を変えて部下と接してみるよ」

Bさんの課題は、Cさんが「Bさんは人が良いから、親会社の会議には私も同席して断るべき事を断るよ」などなど。

多少感情的になる場面はありましたが、対策を皆で議論して、それぞれが主体的に行動ベースでの案を出したのです。数ヵ月後には、この幹部の結束と行動が見違えるほど変わってきました。社長から、「実は彼らの部下から、どうしてうちの上司はこんなに変わったか?と聞かれたので、この研修のことを話したら、私達にもこの研修を受けさせてほしいと言われたんです」と教えていただきました。

その後は、課長クラスの研修も同様にやらせていただきました。社長の積極的な参画もあり、この会社は以前では考えられないような、イキイキとした職場になり、定量的な成果も伴って、モチベーションが上がっています。

心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである

組織的生産性向上の真因を求めたグーグルの「プロジェクト・アリストテレス」の結果は、「成功するために誰を入れるかは大きな問題ではなく、チームメート同士がお互いに、どのように接しているか、によってうまくいっているチームと、そうでないチームの差がでた」ということでした。それは、優れたチームはすべて高い「社会的共感性」を持っているとのことです。つまり、仕事がうまく行くチームは何でも言い合え、お互いの感情や考えを察する力が強いという事が分かったのです。

上記の食品会社の例は、人にもとづく特性を理解したうえで、単に感情的になるのではなく、お互いを分かり合い、腹を割って話すことで劇的に優れた職場に変わることを証明しています。組織の中で一番辛いことや大変なことは、メンバー間の揉め事です。これからのマネジメントは、一人ひとりの個性をしっかり見て、みんなが安心して何でも話し、相手の気持ちを気遣う集団にすることです。こうすることで一人ひとりの個性と可能性が掛け算になって、この環境にも変化対応できる本当の強い組織になるのです。

次回は「思考の変化」についてです。

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