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JEMCO通信

2015-03-23 海外のコンサルの現場から

グローバル展開の現場から|海外でよくある問題と対応|第八回 リスク対策について(その2)

文責:ジェムコ日本経営 コンサルティング事業部 高橋功吉 

 

前回は、「生産が停止するリスク」の中の災害について、筆者が経験した事例を紹介した。

今回は、災害に備え、保険の付保について述べることにする。災害が発生してから付保漏れに気付いたというのでは遅い。その前に、保険の付保状況についても、是非、チェックしておきたい。 
 

◆保険を付保すべきものは

 会社の財産、及び、管理責任のある資産については、すべて保険を付保しておくことが必要となる。また、災害が発生すると操業ができなくなるので利益保険も大切だ。

 先ず、会社の資産から確認しておきたい。チェックすべき事項は、B/Sの借方の残高と比較して、付保漏れや一部保険になっているものがないかである。固定資産では、通常、どの企業でも固定資産台帳等は整備されていると思うので抜けは少ないが、簿外資産や預かり品については抜けているケースがある。また、賃貸契約等をしている資産で、契約上付保責任のあるものについてはきちんと付保されているか確認が必要だ。また、外注先への貸与金型、貸与設備についての保険の付保については、契約の中に明記されているか、確認しておく必要がある。実際、診断等で外注先に貸与している資産の管理状況を確認した際、保険が付保されていなかったケースも散見される。外注先で火災等が発生するということもありうるだけに、貸与資産については、よくチェックしておきたい。

 続いて、棚卸資産だが、ピーク時の在庫をカバーする保険になっているか確認しておく必要がある。棚卸資産は常に量が変化する。量や物の動きに即した保険(通知保険特約等)に加入することも大切だ。利益保険は、営業利益と共に、非操業となる期間の人件費等を含めた経常費用を付保するものであるが、付保金額の妥当性の確認と、特に確認しておきたいのは、サプライヤーでの事故により自社が操業できなかった場合の利益と経常費用をカバーする構外利益担保特約についても付されているか確認しておきたい。実際、サプライヤーに起因して操業できなくなるということも多いからだ。そして、これら付保明細が、一覧で管理できるようにしておくことが大切だ。通常、期限になると保険会社から連絡をくれるが、期限切れになっていたということも無いとは言えない。これらの管理責任者が決まっているか、抜けなく、これらの管理ができているかを確認しておきたい。 

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