ナフサ不足が製造業に与える影響とは?【第4回】価格転嫁できる企業と、苦しくなる企業の違い
文責:ジェムコ・コーオペレーションズ 松村潔
ナフサ不足によるコスト上昇は、単なる材料費だけではありません。物流費。 試作費。 段取り替え。 職人による調整工数・・・。現場では、見えないコストが静かに積み上がっています。
コストを誰が負担するのか?
現場では、見えないコストが静かに積み上がっていますが、問題は、そのコストを誰が負担するのかです。
以前であれば、多くの中小企業は「値上げしたい」と言い出しにくい空気がありました。しかし今、状況は大きく変わり始めています。
背景にあるのが、2026年から施行された「中小受託取引適正化法(取適法)」です。この法律によって、大手企業側が価格協議を一方的に拒否することが難しくなりました。
つまり、中小企業側も“根拠を示せば交渉できる時代”へ変わり始めているのです。

交渉がうまくいっている企業は何をしている?
ただし、当然ながら「困っているので上げてください」だけでは通りません。
実際に交渉がうまくいっている企業は、非常に細かくデータを整理しています。例えば下記のようなデータです。こうした数字を積み上げ、「どこで、いくら上がったのか」を可視化しています。
・代替素材へ変更した際の材料差額
・海外輸送費の増加
・試作回数の増加
・現場調整にかかった工数
供給を止めないための共同提案とは?
さらに最近増えているのが、“提案型の価格交渉”です。「材料不足で困っています」ではなく、「代替素材へ変更すれば納期を守れます。その代わり、このコストだけご理解ください」という形です。
これは単なる値上げ交渉ではありません。“供給を止めないための共同提案”です。
実際、大手メーカー側も今最も恐れているのは、サプライチェーン断絶です。だからこそ、単なる価格の話ではなく、「どう供給を維持するか」という視点を持つ企業ほど、交渉が進みやすくなっています。
今、製造業は大きな転換点に
私は今、製造業は大きな転換点に入っていると感じています。
これまでのように、「安く・早く・確実に」が当たり前ではなくなり、その中で問われるのは、「調達をどう守るか 」「設計をどう柔軟に変えるか 」「顧客とどう協力するか」という“経営そのものの対応力”です。
ナフサ不足は、単なる原料問題ではありません
日本の製造業が持つ強みと弱みを、改めて浮き彫りにしている問題だと私は感じています。




